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IDとFSMのこと

Feb 20

2012

ダーウィンの進化論に対して、

近年ではインテリジェント・デザイン説というのがあるのだそうだ。

キリスト教でもすでに進化論をうけいれて、
『たしかに生命(人間)は原始的な生物から進化してきたかもしれないが、その最初の生命は神が作られた。』ということにしておこうか。」
あたりで納得しているこの時代に、

インテリジェント・デザイン説(ID説)では
『たしかに生命(人間)は原始的な生物から進化してきたかもしれないが、それは偉大なる知性の操作が加わっているためだ。』
と進化論に異をとなえているのだそうだ。
この世界は「偉大なる知性」の「手」によって、「構築(デザイン)」されているというのが、彼らの主な趣旨なのだという。

ID説は反進化論団体に端を発したらしいのですが、
おかしなことに、アメリカではこの考えを、学校教育にとりこもうという動きがあったようなのです。
「もちろん、ID説は科学と向き合うものではありません。道徳的な問題として扱うものです。たとえば、仏教における輪廻転生や地獄のように、倫理や道徳を考える際の有用なツールとして、あくまでも方便として、学校教育に組み込みたい。」
と、さも、宅周りの布教活動する信者の善人面でかたられていますが、こんなに苦しい答弁があるんでしょうか。
学校教育に組み込むために「神」とは明言せず「偉大なる知性」として宗教色を薄めたと書いてありましたが、こういった場合は、おそらくなんらかの理由があって「偉大なる知性」と、あえて表記したというのが世の通説です。

こんなにあやしげなことが、国家単位で進むとは、さすがアメリカというべきでしょうか。

オカルト好きのぼくとしては、フリーメーソンがちらつくところですが、
こんかいはそちらの秘密結社ではなくて、
むしろインテリジェント・デザインに真っ向から立ち向かった、パロディ宗教団体、

『空飛ぶスバゲッティ・モンスター教』

についてです。
インテリジェント・デザイン説を学校教育に組み込ませてなるものかと立ち上がった、冗談宗教団体。
かれらの風刺のピリリと効いたおバカ戦略には、脱帽すべき驚きを含んでいるのに、腹を抱えて笑ってしまいます。

なんと空飛ぶスパゲッティ・モンスター教の神さまは、
空を飛ぶスパゲッティのモンスターなのです。
触手を何本ももった、かわいらしいパスタのお化け。
そのまんま。

たとえば、ID説信奉者たちが、
「平等のため、学校教育でインテリジェント・デザインも教えよ!」
というと、
空飛ぶスパゲッティ・モンスター教(Flying Spaghetti Monsterism=FSM)信者たちは
「平等のため、学校教育でスパゲッティ・モンスターが人類を作ったと教えよ!」
と叫びます。
そうしたパロディのみでこの宗教はできています。

すでにスパゲティ・モンスターの神話もつくられており、

「人類の進化はヌードル触手によっておこなわれたのであり、
昔の人間の背が低かったのは触手で押さえられていたからで、現在では人が増えすぎて触手の数がたりないので、人は大きくなった。」
などなど愛くるしいジョークに満ちている。

そうした宗教パロディはどこまでも拡張されていて、

ヌードルは、スパゲッティモンスターのヌードル触手を象徴する聖なる食べ物であるとか、
「アーメン」のかわりに「ラーメン」というだとか、
胸焼けするほどのメリケン味がたっぷり。

さらに信者は海賊の格好をして、スパゲッティ・モンスター像をかかげてパレードをするのだとか。

そんなおバカな光景がインターネットをつうじて広まり、爆発的な認知を得ているようなのだ。

FSMがはじまってまだ十年もたっていないのに、この広まり様。

人目を引けばなんでもよかったのだろうけれど、そこでスパゲッティという絶妙な選択。
麺を題にした大喜利がずっと続いているようなもので、信者たちは日々ジョークを言いあって神話を膨らませ、きっと飽きないのだろうね。

反IDのためには正攻法ではダメだと察知して、ネットを駆使したコミュニティを築くために、パロディという方法を思いついて、ここまで成功させた、
創始者のボビー・ネンダーソンは天才的な策士かもしれません。

日本でも、支那人がことあるごとに「日本鬼子」という暴言を吐くものだから、
だったら日本の力を結集してと、すっごく可愛い「日本鬼子(ひのもとおにこ)」というキャラクターをつくりあげてインターネットにアップしたという。
萌えキャラクターに変換された日本鬼子をみて、支那人は日本はいったいどうなってる!?とぐうの音も出なかったとか。

こうして微妙にしておバカに世の中をうごかしているのは、
じつはとんでもないことを笑いながらやっている、この自覚のない集団なのかもしれません。
おそらく信者の大半はそんなことも露しらず、海賊コスプレしてふざけているつもりなんだろうけれども、
数ってゆうのは、やっぱり量であり、重さなんですよね。
そこに、冗談という軽さが加わって、利害の一致した永久機関となっている。

楽しんでいるスパゲッティージョーカーたちによって、
スパゲッティーモンスター神話はどこまでも肥大・拡散してくので(たぶんそれを許しているんだろうね、みんなで作り上げる的な)
さらにファンやマニアが集う様が、まるで宗教のようになるわけだ。なにもかもがパロディ。

でも御姿がグロテスクなだけで、考え方は日本の「初音ミク」とかにおそろしく近い。
もちろん、日本のほうがかわいいと思う。

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