庭師トマの殺人
2010年3月19日(金)~21日(日) 遊空間がざびぃ

作・演出 平木大士

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―あらすじ―

庭師のトマは嘘つきで、
なんにでもなることができました。
彼は、嘘のなかで人を愛し、嘘のなかで人を殺し、嘘のなかで死んでいきました。
彼の手相をみたエリザベス・ハートはこう叫びます。
「なんてこと、あなた生命線が何本もあるわ!」

かれには嘘をついているという自覚はありません。
嘘がそのまま、かれにとっての本当なのです。
だから彼は死ぬつもりなんかなかったのです。
ちょっと死んだフリをしただけなのです。
それだけで、トマ・ド・フォントネーは死んでしまったのです。

原作:「山師トマ」(ジャン・コクトー)
   「M」(フリッツ・ラング)
   「英国式庭園殺人事件」(ピーター・グリーナウェイ)

~事件~

街では幼い子供を狙う、残忍な誘拐事件が起こっていた。
あるとき、盲目の風船売りの老人が、あやしげな口笛を聞きつける。
男はチョークで手のひらに「M」とかくと、怪しい人物の肩に手を触れた。
怪しい男の服にはくっきりと「M」の字が残った

~嘘つきトマ~

公爵家に仕える庭師のトマは、奥様のクレマンスに横恋慕をしていた。
そしてクレマンスと恋仲だという妄想を繰り返していた。
だが、トマの空想はいつでも現実と結びつき、真実となる。
本当はトマは庭師ではなかったし、軍人でもない。もちろん人殺しでもなかった。
しかし、思いこんだら一途にそう信じてしまう、そういった気質があったのだ。

~庭園~

クレマンスの命令だったのか、空想の命令だったのか、
トマはド・ボルム公爵を殺してしまう。
それからトマは、クレマンスをなぐさめる為に美しい庭をつくることにした。
美しい花だけでは足りないその庭に、トマは美しい子供たちを植えてゆく。
すべての苦しみがはじまる前に刈り取った、子供たちの汚れない魂をそこへ添えてゆくのだ。

~法廷~

肩口の「M」が決め手となり、トマは捕まってしまう。
だが、トマは自分のいった何が悪かったのかがわからない
トマの頭のなかは、幸せそうに死んでいった子供たちの笑顔でいっぱいだったトマは、陪審員たちに、あなた方のほうが犯罪者じゃないのかと悪態をつく。

~戦争~

もう一度、クレマンスに会いたいと法廷から逃げ出すトマ。。
しかしクレマンスは、機械ように「こっちへきて……」と繰り返すばかり。
これが本物なのか妄想なのか、もはやトマには判然としない。
そこへ爆弾が降り注ぐ。戦争の前線が街まで下りてきたのだ。
戦火のなか、トマはクレマンスを置いて逃げ出した。

~戦場~

数ヵ月後、トマは軍人となって戦場にいた。
ここでは死の価値が低いことがトマを魅了する。
みなが命を軽くみて、たがいに怪物だ、提督だ、麒麟だと役名で呼び合っていた。
そんな嘘にかこまれて、トマは幸福をみいだした。

~死んだフリ~

偵察任務中に敵にみつかってしまうトマ。
「死んだフリをしなければ殺されてしまうぞ!」とトマは思いこんだ。
だが、トマにとってはフリをする(嘘をつく)ことと、本当に死ぬこととはぴったり一つだった。
だからトマは、死の役を生きて、死んでしまうのであった。

―メモ―

原作「山師トマ」の「山師」とは、
山に芝を刈りにいく人のことでも、山姥でもなくて、
「嘘つき」という意味です。「嘘つき」というのも一つの役職とした言い回しのようですが、期末試験前の「ヤマカン」という言葉と「詐欺師」なんていう言葉を思い浮かべればなんとなく納得がいきます。
嘘つきの話に、どうして殺人事件なぞを盛り込んだのかというと、
もちろん人殺しや犯罪を礼賛しているわけではなく、
演劇的な嘘としてもちこみたかったのです。
よく「恋もしらずに芝居をできるか!」とは聞きますが、
人殺しでもないのに、人を殺すことができるのが演劇です。
生きたり死んだりも思いのままです。
演劇の甘みとは、
こうして何度も死ぬことができたり、嘘をついても本当だと思われたり、
そういった子供のような遊びのなかにあるのではないでしょうか。


【出演】
細田刑事(妄想の劇団)…トマ

にいみやすえ…
婢、新聞売りの少年、画家の助手、
新聞屋、ロワ…他

杉村彩…
神父、若者、ハート…他

平木大士…
ネヴィル、盲老人、パジョ…他

【声の出演】
桑田亜紀(クレマンス)
山田喜秋(その他大勢)
??? (アンリエット)

【スタッフ】
照明:鈴木美幸(株式会社MOONLIGHT)
音響:大石和洋
舞台監督・美術協力:小池唯徳
美術:平木大士
制作・宣伝美術:杉村彩
人形及び影絵製作:平木大士・杉村彩
協力:
山田喜秋・服部慶一・遊空間がざびぃ
宣伝協力:
有限会社ネヴュラエクストラサポート
株式会社エンタテインメントプラス
企画製作:IYAYOWORK

【杉並演劇祭】
主催:杉並演劇祭実行委員会
共催:杉並区、杉並区文化協会
後援:杉並区教育委員会