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異文化交流……とでもしておきたい。

Oct 9

2007

「演じる女たち」という芝居を見に行きました。



ウズベキスタン・イラン・インドの精鋭演出家がギリシャ悲劇の女性を媒介に現代を再構成するというコンセプトの3部作。



第一部は王女メディアのお話。

もともとの大まかなストーリーは……旦那のイアソンが、さらなる政略のために、他の女と結婚することになり、メディアは不貞を働いた夫に復讐すべく、その女性に毒を仕込んだ羽衣を送り殺害。さらに自分の腹を痛めた子をも殺して、(神の血縁である)メディアは天上へ帰っていくというお話。

しかし今回は「現代を再構築」であるから、趣向が違う。

さらには海外の「精鋭演出家」ですから、突飛なものが続きます。



現代の日本演劇は基本的にストレートプレイといいますか、ストーリーがあって、それを流れにそって伝えていくという、やや文学的な側面が強いのですが、今回の海外演劇は……わかりやすく日本人的分別をすると、「実験的」とかになるのかもしれません。

僕からすると、もう単純に、演出家の想像力の賜物で構成されているので、抽象的なんていうと、やや掴みやすいのかもしれません。





さて、芝居の中味なのですが、その土地に根付いた音楽を使うのはどの国も一緒みたいです。

メディアでいうと……今回の中ではまだストーリーどおりに展開した方で、わかりやすかったです。それからムーブ、体の型が非常に目立ったように思います。それでも、機知に富んでるなという部分と浅はかだなと思う部分が交互に出てきて、全体として、ハリがあって面白かったです。

あくまで、原作を意識したメディアの「新しい演出法」でありました。



2部のイオカステから、まったくの意識の世界に入っていきます。

一応はソホクレス原作の「オイディプス」より、王妃イオカステと、その息子オイディプスにおいでいただきまして……



さきに簡単にオイディプスの内容を説明しておきますと……運命の悪戯とやらで、そうとは知らず、実の父親である国王を行きずりで殺してしまっていて、そうとは知らず、実の母である王妃と結婚していて、子供まで作っていた。ある日その事実が判明すると、后は自害し、オイディプスは自分の目を突いた。とかなんとか。



で、今回はその母親と息子との近親相姦なんぞを、現代に置き換え、母と実の息子との苦悩の生活を、様々なシーンを通して、輪郭をはっきりさせていく手法だった。

セリフ自体は誰にでもわかる、ある種、稚拙で、単純なものでつないでいく。

「女の股の間なのか、母の痛みなのか僕は目を閉じているからわからない。」

「あなたは糞なのよ。糞に手を突っ込んでいるの」

とかとか。

ただ、そうやって稚拙に言葉を削ぎ落としてあるぶん、凶暴さや、子供の無知さゆえの狂気なんかが伺える。

心象風景の2人なのかもしれないが、いささか子供のまま身体だけ大きくなったように見える。その様は、現在、未成年者が起こす凶悪犯罪や性犯罪に通じるものがあるかのように感じた。自由と個人との間に挟まれて公共性の欠如ゆえに……つまりは「現代を再構成」したわけです。



もちろん、演出家はクレバーですから、もともと稚拙なわけではなく、その稚拙さを表現として選んでいるわけであって、セリフや演技以外の部分、純粋に見栄えとしての演出、立ち位置や格好・小道具の使い方なんかはなるほどそう来たかというばかし合い。

もちろん、僕も全てをわかりきったわけじゃなく、今でもアレがなぜあのタイミングでとか、なぜそう使うのか理解しきれていない部分もありましたが、あとはなんとなく感覚で掴むくらいでした。それでも、刺激的で、海外のフィーリングに触れるというのもなかなか無いもので、鮮烈な印象が残ってます。





最後、3部のヘレネは。これはもうとことん、僕からするとサイケデリクでした。もちろん、演劇的な理由、演出家のもつ観念なんかを表現していった結果なのでしょうが、絶対に日本じゃ見られない……



ストーリーも、原作となるものが、多岐に渡っていて「オレステス」「ヘレネ」「トロイアの女」が軸になっているようですが、そこにさらに現代の抱える問題として「大儀ある殺戮・テロ」なんかに触れているので、オリジナルとして受け取ったほうがよいでしょう……まあ、僕はそのどれも原作を知らないのでなんともいえませんが……



中央には全身を銀の服で覆い、顔を青に塗りたくった男(おそらく全知全能の神ゼウス)が身長と同じくらいある長さの水槽のフタの上に寝ている。水槽の中には水がはってあり、中にはキューピーちゃんのような人形が10体前後。ゼウスからは管が伸びていて、点滴のような吊られた赤いタンクに繋がっている。脇には看護婦のようなおばさんがいて看病しているので、一見病室のベッドのようにも見える。

さらにはそのゼウスの子、ゼウスが世の中を喰らい突くし最後の最後にのこった荒野の砂地から生まれたという女ヘレネは、全身を金の服で多い、顔にも金粉を塗りたくっている。

さらにその土地に進行してきたアガメムノンなんかにイギリスの旗を背負わせて理していて、意味深に。

明らかにインド人の顔をしたおじちゃんはいきなり全身にクリームを拭きつけ、一生懸命に塗りたくる。

ヘレネは地図のかかれたようなフィルムの袋に入り込み踊る?

ゼウスは最後の最後まで水槽の上に横たわり、アゴを上に突き出した「気道確保」のような体制で堪えたまま死にそうな声で話しかける。最後にはすいそうな中に飛び込み、あがく(おぼれる?閉じ込められる?)

パンクな兄ちゃんが出てきてゼウス(死にかけの老人)に洒落にならない悪戯をするし。



なんとなくは見続けましたが、内容の説明までは、僕の脳みそじゃあ不可能です。理解しきれていません。



ただ単純にその映像が、見事でして、なかなか話には聞くけど見たことないようなものを見ることができました。さすがな精鋭演出家な方々。



昔は寺山修司さんを筆頭にして、日本にもそうゆう方々がいらっしゃったのになあ……

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