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地位と王位・権力と金・そしてバクダン。

Aug 9

2007

今回のお芝居なのですが、チラシの方にも少し書いてありますように、

「ビキニ水爆」に遭遇します。



なぜ水爆かといいますと、また少し深い話になります……



原作マクベスでは、主人公とその夫人は、「王位」という絶対的な地位に目がくらみ、王ダンカンを手にかけるのですが……





これを日本版に改訂するにおいて、日本人が地位に目がくらむということはあまりないのではと思ったのです。

会社勤めの方が、社長や部長になりたいと思うことがあっても、別段殺人に踏み込む程度の思い入れはないと思うのです。殺すくらいなら、徹底的に努力をし、成しあがろうとするのが気質です。

職人気質の人が多いのです。

さらに、政治家などになろうというのも、別段地位が欲しいわけではなく、誠実な方は「国を良くしたい」とか、まあ不誠実な方は「金がたんまり」とか、地位そのものに何か希望や羨望を抱くということはまずないと思うのです。



そもそも、日本のトップに立つのはと考えると、「首相」もしくは「天皇陛下」でしょう。





天皇家は、いわゆる日本の古来の神々の血をひいているといわれています。



しかし、その天皇も戦後は「国民の象徴」としてあつかわれました。



それに、神といっても、日本の場合一神教ではございません。日本は古来から精霊信仰(アニミズム)といって、生きとしいけるもの全てに魂がやどっているという考えがあり、「神」に価するものは無数にあるのです。



さらに現在では宗教の自由ということもあり、それぞれが自由なものを信じております。



「上」というものに対して、非常に曖昧です。



では、現在で、地位に変わるものといったら何でしょうか?



そりゃまあ「金」でしょう。

強盗殺人とか保険金目的の殺人とか、日替わりで耳にします。



ですが、僕は「金」に執着する本は書けません。

金のことはよくわからないからです。





というわけで、その地位に変わる別のものを求めていたところに、「原爆・水爆」に行き着いたのです。

というのは、この日本に絶対的な破戒をもたらし、それを境に価値観から生活全てにいたるまで、ガラリと変えられた重大な事件の発端になるものだからです。



ある意味で、それは、日本の神を殺し、天皇を殺し、日本人のアイデンティティを奪った、「日本において最大のもの」というイメージがあるからです。



今でも、核について語ることは、非常にデリケートにそして、一部ではタブーです。

平和的な見解以外は抹殺抹消されます。



「地位」に変わるものはこれしかない。



中でも水爆を選んだのは、もともとマクベスを読み、「海」のイメージが強かったのと、調べていくうちに、重大な事実が浮かび上がってきたからです。

それはまた今後お話しましょう。





そうして、僕の中でのイメージがギュッと固まり、散在していたイメージが結びついたのです。



どうせ、舞台に乗っけるのなら、「タダゴト」であってはいけないという思いがあります。

舞台のこちら側、あちら側、嘘側、本当側とかいった、定着概念を打ち壊し、共通の大地に立った上で、様々な世界を肌で感じるべきだと思うのです。

身をつままされる思いなんかを持ち帰ってもらい、「しこり」として、胸の奥に種のようなものがいつまでも根を張ったように残るというのが、僕の芝居においての狙いです。

実生活において、いつまでも反復反芻してこそ、その芝居に意味があった、価値があったということになると思うのです。



ただ消費されるだけでは、やる側もたまったもんじゃないのです。



ビキニはその共通の経験として、もう一度呼び起こさなくてはならない事件だと思います。





それは「化石」のように、骨を見て、かつてそういった巨大なものが地球を闊歩していたのだと夢想するというような、どこか他人事で、時代を隔てたものではなくです。





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↑小難しい御託が嫌われる世の中に、あえて警鐘をならすべく、少数派でも恐れずに、進むのが「イヤヨ」節。イヤヨワークは風刺がテーマです。

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