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ロシアの文人 シベリア送り

Jul 4

2008

ドストエフスキーの「地下室の手記」を読み終わる。

非常に参った。私生活にものすごく影響が出た。この地下室に閉じこもった高尚な頭脳を持った自意識の強い人物には共感するところが多々あり、一歩踏み間違えていれば…いや、もう一段正直に、自分の欲望や欲求のままに生きていれば、僕もこの地下室の住人になっていたかもしれない…

それほどに僕の現在の情況を皮肉られたような気がして悔しくなった。今僕がどれほど「理性」という言葉を盾に嘘を重ねているか等々。足元を自分で崩しかねなかった!

それくらいの力をもった小説であった。なんと明るく逞しいか!



と、解説を読むと、「地下室の手記」はドストエフスキーの中でも最も陰気でネガティブな作品だという…

以前に読んだ「白夜」は女性と喋る機会がない機知に富んだ男が、同じように男性と出会う機会がない女と出会い語らっていく話しだったし、「二重人格(ドッペルゲンガー)」は苦悩のあまりにもぅ一人の理想の自分が現れ、自分の地位や名誉を全て奪われてしまう話しだった。

どれも主人公の暗さといったらない。だいたいどの主人公も同じような悩みを抱えている。どれも現代人の悩みに馬鹿正直に真っ正面から立ち向かい、打ちのめされている。何も考えないようにして(そのような事実に何も気付かずに)その日をただ貪るように楽しんで生きている人間の方が、利口のようにさえ思える。ただどうしても頭がそうゆうことを考え、その事実から目を逸らしていきるのは、自分という人間の尊厳を自ら辱め、嘘をつきつづければ、きっと自分も身の回りの人間のように脳が茫洋としてきてそういった事実に気がつかなくなるのではという恐怖感に身を震わせている。





純朴さということを守りたいが故に愚直な行動に出るが、成長ということが彼自身をも知らぬ内に回りの雑多なものの影響をうけ、思考が濁ったりもしてきている。それらといつまでも、24時間365日戦っている。

これはネガティブなのではなく思考の領土侵犯を巡る闘う人間の話のように思う。



だから堪らなく好きなのだろう。

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