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エキストラ のこと

Jul 7

2013

さて、こちらの記事は、ブログらしいといえばブログらしい記事になります。

わたくし、先日はじめてTV出演というものをいたしました。
セリフもない一般市民の役、いわゆるエキストラです。

エキストラで記事にするというのは、
まがりなりにも俳優をやっている身としては気恥ずかしいものかもしれませんが、
いえ、ぼくは臆面もなく言っちゃいます。なにしろ初めてのことなので。

それに、意外にも、テレヴィジョンにでかでかと映っていましたので、
この流れに乗じて、書いちゃいます

本当に、はじのほうに米粒程度映っていたらと思っていたので、
母親に軽くいっておいたくらいで、放送後になってすごく驚いているのです。

ぼくが映ったのは、以前からちょくちょく見ていて、出てみたいなぁと切望していた
タイムスクープハンターという番組です。
NHKの、要潤さんが主演の、ドキュメンタリー仕立てのドラマです。

時代を超え、その当時の人々がどういった生活を送っていたのかを、
庶民の視点からとらえるという番組です。
なので、歴史上の有名人が出てくることはほとんどありません。
あくまで町視点、庶民視点です。
それを、手持ちカメラで撮り、臨場感のあるドキュメンタリー風にしていくのです。

その仕立て方がすごく好きで、
あの番組だったら、出ても面白いだろうなぁと思っていたのです。

それにね、実家に帰省するたびに、
ぼくは小さな演劇ばかりやっているので、それがなんだか大きく取り上げられたりとかしないものですから、
祖母が大変に心配をするわけです。

「東京でお芝居をしよっとに、大士はいっちょん名が出らんね。もう帰ってきたらいいっちゃないとね。」

とはちょくちょく言われます。ぼくは別に気にせず飄々としていたのですが、
さすがにそろそろ何かあったほうがいいのかしらとも思われまして、

「エキストラでも、テレビに出たら嬉しい?」

と今年頭に、帰省したときに聞きましたら、

「そうねえ、チャンスがあったら、やったらいいっちゃないと?」

と言われましたので、こりゃあ、今年こそはと思っていたところへ、
そのタイムスクープハンターのエキストラ募集のお知らせを見たわけです。

とにかく飛び込まずしてはと応募しまして、受かりまして、
撮影地である郊外へと向かいました。

集合場所へつきますと、大部屋の待合室のようなところへ案内されました。
もちろん、そこへいらしていた同じエキストラの方々もたくさんいらっしゃいます。
そして、なぜだか運よく、にぎやかに話している方がたの輪に入れてもらうことができましたら、これがいわゆる、常連のエキストラさんたちだとわかり、とても面白い話をたくさん聞くことができました。

エキストラというと、役者の卵が下積みをするというイメージなのですが、
ここへきている方のほとんどが、郊外に住む社会人なのだそうです。

そもそも、ギャラのあるエキストラは事務所に所属している俳優の卵さんたちにふられ、
ノーギャラのエキストラは、一般募集されるのだそうです。
そしてその、一般募集を取りまとめるエキストラのサイトがあるらしく、
ここにいる方のほとんどはそこの情報をみて、各番組やテレビにエキストラ出演されている、常連のエキストラさんたちだというのです。

ですからみなさん、あの番組の、あのシーンに出たよとか、あの撮影の裏話とか、
あのテレビ局はどうだとか、あの俳優さん、女優さんはいいひとだったとか、
そうゆう面白話がひっきりなしに出てくるのです。

もちろん撮影所内のこともよく知っていて、案内してもらったり、
遊んでもらったりもしました。

そして緊張の、ぼくにとっては初の、撮影がはじまると、
これがこの常連のみなさんが見事にエキストラを演じきるわけです。
動きといい、リアクションといい、発する声といい……
欲しい時に欲しいだけの分量をわきまえた、動きであり、声なのです。

これが、本当に職人技のように見事だったのです。

お芝居をやっていますと、
目立つことだけを考える俳優ってのはまわりに結構多くて、
こうやったら目立つとか、自分をよく見せるとか、
そういうこと考えているひとはたくさんいるのですが…
そうゆうのって、集団になると悪目立ちをすることが少なくないのです。

もちろん人を引っ張る気概を持って俳優になるわけですから、そうゆうのも一概に悪いとはいえないのですが、
ですから逆に、他人を目立たせるために、引き立て役になることのみを考えて動く人ってのは、あまりいないわけです。

ところが、エキストラに集まっていた方々は、
みなさん美しい背景になることを心得ているのです。
いってしまえば、素人さんなのですが、エキストラのプロみたいな方々なのでした。
普段は真面目に働いていますけれど、休日はテレビ出演しています、
みたいな、隠れた特殊能力をお持ちの、特命係長のような方々に出会ったような気がいたしました。


話によると、ノーギャラでやっているぶん、自由というか、気負いしないというか、エキストラなれしているというか、いい仕事をするのだそうです。
なるほど、みなさんとても楽しそうにリラックスしています。

ある人は、
「背中でも、そこになきゃいけないんです。それって(絵を埋めるには)大事なことなんです。わたしは背中でいいんです。」
と言っていました。
もしかすると、今回一番の収穫はその言葉だったんじゃないかと思います。

ほんとうにみなさん、素人なのかと疑いたくなるくらい、いい仕事するのです。
程良い笑い声が、リアリティありありなのです。
野次をとばすのも、人々が言いそうな言葉なのです。

もちろん、現場の空気がいいのも理由のひとつでした。
なんでも、この番組は、エキストラさんの扱いがとても優しく丁寧で、
まるでメインキャストさんのように扱ってくれるらしいのです。
たしかに楽しいことだけしてきたような印象があります。
化粧も全部おまかせでしたし、なにもしなくても、髪を巻き、カツラがつけられ、
ぼろぼろの衣装を身にまとい、テレビでみた貧乏庶民ができあがってゆきました。

とくに、ぼくの参加した回には、あのお笑い芸人さんたちも来ていて、
披露する芸を見るという役まわりだったので、単純に楽しんでしまいました。
あの芸を目の当たりにすることができるだなんて。

さて、さし障りのない話をしてきたつもりではありますが、
テレビの方はなんでも話したり書いたりすると問題があるそうなので、
願わくば、これで心を痛める方がいないことを望みます。

それでも、放送されたテレビの画面を載せるくらいは…いいですよね?
ちょっとまわりの方々を加工してあります。
これも、配慮のひとつであります。

エキストラ1
こんなに大きく、映ることってなかなかないんじゃないかしら。
エキストラとは思えません……。感謝です。

エキストラ2

この放送を母が録画していたようでして、それもみた祖母も大喜びだったようです。
「大士、けっこう映っとったよ!」と母に話したそうです。
「元気にしているのがわかって、よかった。」だそうです。
いつも電話するたびに、元気だよといっているのにね!
なんにせよ、よかったよかった。
それでもね、「大士はほんとうに反応がよかね、本当に笑っとうみたい!」
っていうのは欲目ですよ。
面白い芸みて、本当に笑ってるんだもの。

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