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さあ、高らかに歌いましょう。マルドロール。

Dec 15

2008

不勉強なもので、なかなか「勉強」ということができずにいます。



少しづつではありますが、本は読んでいます。



お勧めではありませんが、読んでいてこれはなんて素晴らしいんだと思ったのは、ロートレアモン伯爵が書いた「マルドロールの歌」という一冊です。



伯爵とついていますが、単なる筆名らしく、本名はイジドール・ドゥキャッス。当然そのような爵位はなかったようです。

一番注目したいのは、このロートレアモンさんは24歳で亡くなっています。



その24歳の青年が書いた詩のような小説のような言語表現が、その後何百年に渡って、多くの人々、多くの芸術家の心臓に深く突き刺さり、こうして日本語訳までされて、今僕の手元にあるわけです。



24歳というと、今の僕とまったく同じ歳です。

その人がこれだけの文章を書き、これだけの評価と得て……そしてそれが決して親の七光や金持ちであったとかいうわけではないというこの事実。



そして、生きている間に書いたのはたった2冊、「マルドロールの歌」と「ポエジイ」だけで、そのどちらも生きている間には自費出版までしかできなかった。



マルドロールの方は一度だけ、印刷・製本にまでこぎつけたが、出版の段階で拒否されたらしい。

詳しく調べてないので何故拒否されたのかはわからないですが、内容を読めば、あまりの過激さに目を覆いたくなるのもうなずけます。





内容は、わかる人にはなんて美しくなんて詩にあふれ、なんと反逆的な神秘的な力に満ち溢れているのだろうというのでしょうが、



ひとたび読み方を間違えると、



サディスティックで残酷で、なんて醜い、ひねくれた、読むに堪えない読む価値のない文章だと思われるかもしれないです。





そのことを書いている本人も理解していて、冒頭に注意書きが載せてあります。

「なんとか読者がしばらくは、読んでいるものとおなじように凶暴になり、これらの陰鬱で毒だらけのページの、荒れはてた沼をわたり、けわしく未開のみずからの道を、迷うことなくそこに見つけてほしい。

 この本を読むには、しっかりした理論、うたがう心、そしてそれらと同量の精神の緊張とを保っていてもらわないと、命にかかわるこの放射性物質は、水が砂糖にしみこむように、魂にまで浸透していくだろう。

 これらのページを誰もが読むのは、よくないことだ。いくらかの人たちだけが危ない目にあうことなく、この苦い果実を味わえる。

 だから臆病な魂よ、こんなだれも行ったことのない大陸の、奥深くまで踏みこまないうちに引き返せ。」



長いですが、冒頭の部分を引用しました。

この挑戦的な文章。誰にでもわかるものじゃないから、その覚悟がなければ読むなという注意書き。そして、読んでいっても兇暴であったり、陰鬱で毒だらけだというのだ。



古本屋で、この数行を読んで、すぐに買いました。



そんな誰も見たこともない大陸を覗いてみたいと思ったからです。そして、この冒頭に書いてあることは紛れもなく真実で、何度か何故そこまでするんだマルドロール!と思いました。



そうです。作中にはマルドロールという、神に敵対する、人類側のヒーローのような存在が現れて、神や天使の実態を暴き、度肝を抜くような攻撃を加えていきます。またその荒々しく、壮絶な生きざまは、……簡単にいえば宇宙戦争を思わせます。

やれ子供を八つ裂きにしてみせたかと思えば、巨大なメスの鮫と性交したり。神様は血の沼で人間を頭から丸かじりしていたり。



しかしそれは決してアメリカ的なロックンロールだとかいう浅はかなアンチではなく、博識と秩序立った理論のもと描かれる、世界で最も美しいのではと思える詩的表現なのである。





もちろん、初めて読んだときはさっぱり意味がわからず、今二周目です。

それでなんとかようやく、描かれてあることが見えてきました。



わかってくると、もう手放したくないです。

よく、雑誌なんかには、「有名人が語る、この本は読んでおきたい」とかありますけど、僕はこの「マルドロールの歌」を挙げたいと思います。

ただし、かいてあるように、誰でも読めるというものではないので、決して「お勧めの一冊」ではありません。



特にゆとり教育と漫画で育った同世代には、厳しいかと思われます……

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